ベルギーの岡本太郎?ピエール・アレシンスキーを見て来た [ベルギーでの暮らしとヨーロッパの旅]
きっかけは、前回の逆出張で渋谷ブンカムラに「ピーターラビット展」を見に行った時。
次回の展覧会は、ピエール・アレシンスキー?
ベルギーの岡本太郎(と勝手に命名)じゃないですか!
ベルギー現代美術を代表するアレシンスキーさんは、89歳にして現役。
一つ一つの線が、まるで生きているかのような躍動感。
平面である紙から、こぼれ出してくるかのような鮮やかな色使い。
何と言っても「これぞアレシンスキー印!」なのは、
熱い思いがみなぎるような、ライブ感溢れる筆さばき。
なんでも「日本の書道」そのルーツがあるとか。
他でもない、今年2016年は日本ベルギー友好150周年。
せっかくだからこれを機に、
「日本にもゆかりのあるベルギーの国民的アーティストを見てみたい!」と思い立ち、
せっかくなので、地元の人たちにも聞き込みして、リサーチしてみました。
ブリュッセル市内の地下鉄の駅に、彼の作品があるということです。
いわゆるパブリックアートですね。
よし、現場に急行します!
地下鉄カードに描かれているのは、絵画の額縁。
やっぱりみんなアート好きなんですね。
目指すは5号線の「Delta」駅。
ブリュッセル中央駅を出発して、10分後に到着。
ちなみにこのデルタ駅には、車両の整備施設があるらしく、
上空から見ると三角の形をしているからDelta(△)と名付けられたんだって。へぇ。
さておき、階段を上がり、改札を抜け、角を曲がると…
わ、どどーん!と、ありましたよ。
びっくりした…。
筆が踊っているような、壁から飛び出さんばかりの迫力。
7つの縦長パネル、それぞれ仕切られたマス目に、
同じ前衛アート集団「コブラ」で活動した仲間、
ベルギーの詩人&画家のドートルモンと激しく共作していました。
(筆で書かれた象形文字のような「ロゴグラム」がドートルモン作)
素敵だな、と思ったのは、
当たり前のように、作品が駅構内に溶け込んでいて、
当たり前のように、人々がその前を行き来しているという日常の風景。
渋谷駅にある岡本太郎「明日の神話」のようでした。
通り過ぎてゆく人々に、
「このアレシンスキーさん、やはりビッグアーティストなんですか?」と尋ねたら
「もっちろんよ!」と、誇らしげ。
近くに大学のキャンパスがあるせいか、学生さんが多かった印象でした。
すぐ目の前にあるミニスーパーからの景色。
国民的人気アーティストの作品を目にしながら、お菓子を買っているのか。
いいなー、さりげなく贅沢な日常。
さて、街中に溶け込むアレシンスキー作品のを見た後は、
やはり美術館にも足を運ばないと!
地下鉄でベルギー王立美術館へ。「Parc」駅下車。徒歩5分。
と、その前に、おやつ補給。
美術館の目の前、絶好のロケーションに、甘い香りを振りまくワッフルのワゴン。
スマーフってベルギー生まれって知ってました?
そして、ベルギーではおじさん達も甘いモノ大好きなのです。
そうこうしながら、エントランスへ。
この王立美術館、
かのナポレオンがパリのルーブル美術館にあった名画をこちらに送り、
展示するためにルーブルの分館として誕生したのが始まり。
あれ、この絵もひょっとして?
受付カウンターにいるマダムな係員さんに聞いてみます。
…あのう、美術館前に、はためいていたのって、アレシンスキーの絵ですか?
「ええ、そうですよ!
あら、アナタ、日本からアレシンスキーを見に来たの?
じゃ、まず目の前にあるわよ!」
え?どこどこどこですか?
本当だ!
さっそくエントランスホールで出迎えてくれました。
(クリックすると拡大)
展示室の入り口となり、美術館のベストスポットに掛けられた
アレシンスキー作品「LE DERNIER JOUR(THE LAST DAY)」
緑と白をベースに、あざやかな色彩。
生き生きとしたタッチ。
遠目からもパッと目をひく強烈なインパクトです。
近くに寄ってじっくり見ると「これは鳥の頭? 人の顔?」と
想像を働かせながら、自分でひとつひとつパズルのピースをはめていくのが楽しい。
先ほどの受付マダムいわく
「残念ながらこの美術館は何年もずっと改装中で、いつ終わるのか、私も分からないのよ(苦笑)
現代作品は一部屋だけ展示していますから、二階に上がってごらんなさい」
ということで、階段を上がり、二階へ。
ルーベンスやブリューゲルなどのフランドル絵画の部屋を通り抜け、
一気に雰囲気が変わったのが、現代作品を集めた展示室「キュレーターズ・チョイス」。
あれはもしや?
やはりそうでした!
こちらも、デルタ駅で見た作品と同じく、ドートルモンとの共作。
「ABRUPTE FABLE」1976年
文字と絵、言葉とイメージ。
思いのままに自由に分解して、組み立て直して、混ざり合う、
そんな二人が呼応するように作り上げた作品。
書道に惹かれた理由が少しわかった気がしました。
書道のようにキャンバスや紙を床に置いて描いたり、
和紙に墨で絵を描いたり、
はたまた、不要になった手紙や帳簿や地図などを画材にしたり、
マンホールに紙を当ててこすって模様を浮き上がらせる拓本のようなこともやったりと、
とにかく新しいことに挑戦し続けるアレシンスキーさん。
繰り返しますが、89歳現役!
そのチャレンジ精神に大いに刺激を受けました。
もっと見てみたい。
今回、本国ベルギーでは、3点しか見られませんでしたが、
日本ベルギー150周年のまたとないチャンスのこの秋、
渋谷文化村にて日本初の大回顧展が開催中ということ。
「ピエール・アレシンスキー展」 Bunkamura ザ・ミュージアム
2016/10/19(水)-12/8(木) *10/24(月)のみ休館
次回の逆出張の際には、しっかりと見に行こうと思います。
それにしても、世界中のアートが楽しめる街、東京。
そのありがたさをここベルギーで噛み締めることになろうとは(笑)。
ミュージアムショップで、定番のポストカード売り場。
その先頭には、やっぱりわれらがアレシンスキーさんでした。
【こぼれ話】
館内が空いていたので、帰り際、係員のおじさんといろいろ立ち話。
おじさん曰く、やはりアレシンスキーは、
シュールレアリスムの双璧マグリット&デルヴォーと並ぶ、国民的スターなんですって。
「アレシンスキー?俺に言わせりゃベルギーのビック3だね。
マグリット、デルボー、そして、アレシンスキーだよ!
何年前か、ここで大回顧展をやった時に彼は来てくれたよ。
ベルギー国内はもちろん、世界中のお客さんが来てくれたなぁ。
あの時はすごい人だったなあ。」
…この絵も、入り口に入ると、まずパッと目に飛び込んできますもんね。
「そうだね、ここに立っていると、しょっちゅう質問されるんだよ。
これは何を描いているのですか?と。
それを、自分で考えろってんだ!
マグリットみたいに、パッと見て、「リンゴだ」「あ、傘ね」と、
決してわかりやすいものじゃないだろ。
じーっくり自分の目で見て、自分の頭で考えて、
想像を働かせなくちゃいけない。それこそが楽しみじゃないか。
日本で回顧展?そりゃいいね。
日本のお客さんは芸術に対して、深く理解しようとしているし、愛しているよね。
僕の大好きなベルギーのバイオリニストがいるんだけど、
ベルギーではCDの販売が何年もないのに、ネットで検索したら、
日本で7巻セットが出てるじゃないか。いやぁ、うらやましいよ(以下延々と続く…)」
本当に、地元の人々に愛されていますね、アレンシスキーさん!
そしてレポートは後半に続きます→ 「アレシンスキーの溜まり場に行って来た」
次回の展覧会は、ピエール・アレシンスキー?
ベルギーの岡本太郎(と勝手に命名)じゃないですか!
ベルギー現代美術を代表するアレシンスキーさんは、89歳にして現役。
一つ一つの線が、まるで生きているかのような躍動感。
平面である紙から、こぼれ出してくるかのような鮮やかな色使い。
何と言っても「これぞアレシンスキー印!」なのは、
熱い思いがみなぎるような、ライブ感溢れる筆さばき。
なんでも「日本の書道」そのルーツがあるとか。
他でもない、今年2016年は日本ベルギー友好150周年。
せっかくだからこれを機に、
「日本にもゆかりのあるベルギーの国民的アーティストを見てみたい!」と思い立ち、
せっかくなので、地元の人たちにも聞き込みして、リサーチしてみました。
ブリュッセル市内の地下鉄の駅に、彼の作品があるということです。
いわゆるパブリックアートですね。
よし、現場に急行します!
地下鉄カードに描かれているのは、絵画の額縁。
やっぱりみんなアート好きなんですね。
目指すは5号線の「Delta」駅。
ブリュッセル中央駅を出発して、10分後に到着。
ちなみにこのデルタ駅には、車両の整備施設があるらしく、
上空から見ると三角の形をしているからDelta(△)と名付けられたんだって。へぇ。
さておき、階段を上がり、改札を抜け、角を曲がると…
わ、どどーん!と、ありましたよ。
びっくりした…。
筆が踊っているような、壁から飛び出さんばかりの迫力。
7つの縦長パネル、それぞれ仕切られたマス目に、
同じ前衛アート集団「コブラ」で活動した仲間、
ベルギーの詩人&画家のドートルモンと激しく共作していました。
(筆で書かれた象形文字のような「ロゴグラム」がドートルモン作)
素敵だな、と思ったのは、
当たり前のように、作品が駅構内に溶け込んでいて、
当たり前のように、人々がその前を行き来しているという日常の風景。
渋谷駅にある岡本太郎「明日の神話」のようでした。
通り過ぎてゆく人々に、
「このアレシンスキーさん、やはりビッグアーティストなんですか?」と尋ねたら
「もっちろんよ!」と、誇らしげ。
近くに大学のキャンパスがあるせいか、学生さんが多かった印象でした。
すぐ目の前にあるミニスーパーからの景色。
国民的人気アーティストの作品を目にしながら、お菓子を買っているのか。
いいなー、さりげなく贅沢な日常。
さて、街中に溶け込むアレシンスキー作品のを見た後は、
やはり美術館にも足を運ばないと!
地下鉄でベルギー王立美術館へ。「Parc」駅下車。徒歩5分。
と、その前に、おやつ補給。
美術館の目の前、絶好のロケーションに、甘い香りを振りまくワッフルのワゴン。
スマーフってベルギー生まれって知ってました?
そして、ベルギーではおじさん達も甘いモノ大好きなのです。
そうこうしながら、エントランスへ。
この王立美術館、
かのナポレオンがパリのルーブル美術館にあった名画をこちらに送り、
展示するためにルーブルの分館として誕生したのが始まり。
あれ、この絵もひょっとして?
受付カウンターにいるマダムな係員さんに聞いてみます。
…あのう、美術館前に、はためいていたのって、アレシンスキーの絵ですか?
「ええ、そうですよ!
あら、アナタ、日本からアレシンスキーを見に来たの?
じゃ、まず目の前にあるわよ!」
え?どこどこどこですか?
本当だ!
さっそくエントランスホールで出迎えてくれました。
(クリックすると拡大)
展示室の入り口となり、美術館のベストスポットに掛けられた
アレシンスキー作品「LE DERNIER JOUR(THE LAST DAY)」
緑と白をベースに、あざやかな色彩。
生き生きとしたタッチ。
遠目からもパッと目をひく強烈なインパクトです。
近くに寄ってじっくり見ると「これは鳥の頭? 人の顔?」と
想像を働かせながら、自分でひとつひとつパズルのピースをはめていくのが楽しい。
先ほどの受付マダムいわく
「残念ながらこの美術館は何年もずっと改装中で、いつ終わるのか、私も分からないのよ(苦笑)
現代作品は一部屋だけ展示していますから、二階に上がってごらんなさい」
ということで、階段を上がり、二階へ。
ルーベンスやブリューゲルなどのフランドル絵画の部屋を通り抜け、
一気に雰囲気が変わったのが、現代作品を集めた展示室「キュレーターズ・チョイス」。
あれはもしや?
やはりそうでした!
こちらも、デルタ駅で見た作品と同じく、ドートルモンとの共作。
「ABRUPTE FABLE」1976年
文字と絵、言葉とイメージ。
思いのままに自由に分解して、組み立て直して、混ざり合う、
そんな二人が呼応するように作り上げた作品。
書道に惹かれた理由が少しわかった気がしました。
書道のようにキャンバスや紙を床に置いて描いたり、
和紙に墨で絵を描いたり、
はたまた、不要になった手紙や帳簿や地図などを画材にしたり、
マンホールに紙を当ててこすって模様を浮き上がらせる拓本のようなこともやったりと、
とにかく新しいことに挑戦し続けるアレシンスキーさん。
繰り返しますが、89歳現役!
そのチャレンジ精神に大いに刺激を受けました。
もっと見てみたい。
今回、本国ベルギーでは、3点しか見られませんでしたが、
日本ベルギー150周年のまたとないチャンスのこの秋、
渋谷文化村にて日本初の大回顧展が開催中ということ。
「ピエール・アレシンスキー展」 Bunkamura ザ・ミュージアム
2016/10/19(水)-12/8(木) *10/24(月)のみ休館
次回の逆出張の際には、しっかりと見に行こうと思います。
それにしても、世界中のアートが楽しめる街、東京。
そのありがたさをここベルギーで噛み締めることになろうとは(笑)。
ミュージアムショップで、定番のポストカード売り場。
その先頭には、やっぱりわれらがアレシンスキーさんでした。
【こぼれ話】
館内が空いていたので、帰り際、係員のおじさんといろいろ立ち話。
おじさん曰く、やはりアレシンスキーは、
シュールレアリスムの双璧マグリット&デルヴォーと並ぶ、国民的スターなんですって。
「アレシンスキー?俺に言わせりゃベルギーのビック3だね。
マグリット、デルボー、そして、アレシンスキーだよ!
何年前か、ここで大回顧展をやった時に彼は来てくれたよ。
ベルギー国内はもちろん、世界中のお客さんが来てくれたなぁ。
あの時はすごい人だったなあ。」
…この絵も、入り口に入ると、まずパッと目に飛び込んできますもんね。
「そうだね、ここに立っていると、しょっちゅう質問されるんだよ。
これは何を描いているのですか?と。
それを、自分で考えろってんだ!
マグリットみたいに、パッと見て、「リンゴだ」「あ、傘ね」と、
決してわかりやすいものじゃないだろ。
じーっくり自分の目で見て、自分の頭で考えて、
想像を働かせなくちゃいけない。それこそが楽しみじゃないか。
日本で回顧展?そりゃいいね。
日本のお客さんは芸術に対して、深く理解しようとしているし、愛しているよね。
僕の大好きなベルギーのバイオリニストがいるんだけど、
ベルギーではCDの販売が何年もないのに、ネットで検索したら、
日本で7巻セットが出てるじゃないか。いやぁ、うらやましいよ(以下延々と続く…)」
本当に、地元の人々に愛されていますね、アレンシスキーさん!
そしてレポートは後半に続きます→ 「アレシンスキーの溜まり場に行って来た」