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プラハでミュシャ「スラブ叙事詩」を見てきた。 [ベルギーでの暮らしとヨーロッパの旅]

かねてから行きたかった憧れのチェコ、プラハに行ってきました。
気温30℃!意外と暑い東欧!

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(「路面電車が走る街=良い街」といつも思います!)

ブリュッセルからドイツの上空を飛んで、1時間15分のフライト。
あっという間の近さなのに、「東欧の隠れた宝石」は全くの別世界でした。

「007」「ミッションインポッシブル」「ナルニア国物語」をはじめ、
「え?アレも?あの映画も?」と数々の映画の舞台になったのも納得。(「のだめ」も!)
どこにカメラを向けても絵になる、ロマンチックでミステリアスで歴史を感じる風景です。

旅のきっかけになったのは、チェコの国民的キャラクター「もぐらのクルテク」。
実は、前回の日本逆出張で乗った飛行機の隣の席が、
絵本を手がけられたチェコ語翻訳家の木村有子さんだったのです。
(木村さんのサイト「チェコのヤポンカ」。チェコのお話満載です。)

そうとは知らずお声をおかけして、途中「わ!そうなんですか!」とびっくり。
飛行機を降りてからも、ともにバスに乗り、パスポートチェックの列に並び、
荷物が回るグルグル台のところまで、ずっとチェコ話が弾みました。
優しい素敵な女性だったなー。

その後、ベルギーに帰ってからも、メールでやりとりするうちに、
チェコ熱は冷めるどころか、「これは行かねば!しかも近い!」と、週末2泊3日の旅。

一言で、素敵なご縁って始まるものですね。
そして、人生も変わってくるんですねー。

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初プラハ、2泊3日では全然足りなかったのです…が!
それでも、目に、耳に、鼻に(笑)入ってくるものすべてが、
「さて、きみは何を感じるんだい?」と投げかけてくるような、刺激いっぱいの旅でした。

私自身、10代をアメリカで過ごしましたが、
ベルギーに住みつつ、近隣諸国に実際に足を運ぶと、
やはりヨーロッパの奥の深さを改めて思い知らされます。。。。

旧市街の石畳、
オレンジ色の屋根、
中世に迷い込んだような雰囲気。

錬金術師たちが住んでいた家々、
モーツアルトが弾いたオルガン、
カフカの生まれた家...
なんだかもう、石を投げれば(投げませんけど)あまりにも華麗で重厚な歴史。
滞在中ずっと「ムハー!」って感じでした。

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(5歳の娘は「タケコプター!」と反応。わかる…)

ムハ…本国チェコではミュシャをこう呼ぶんですって。
生ムハも、今回は、大作「スラブ叙事詩」一本狙いでいきます。

いざ、プラハ国立美術館の「ヴェレトルジニー宮殿」へ。

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(館前にはアイ・ウェイウェイ氏の作品?会期、終わってなかったっけ?)

「宮殿」とはいえ、広い近代的なコンクリートの建物なんです。
なぜこんな名前なのですか?と、木村さんに尋ねたら、

「プラハ国立美術館はいくつかありますが、
現代美術と「スラヴ叙事詩」を展示しているのが、ヴェレトルジニーパラーツです。

以前、ヴェレトゥルフ(見本市)会場だったことから、
ヴェレトルジニー(見本市の)パラーツ(宮殿)という名前がついたのだと思いますよ。」

とのことでした。
なるほど、どうりで宮殿らしからぬ、スッキリ&こざっぱり感が漂う入り口。

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チケットは一人180チェココルナ(770円)と、良心的。
期待に胸高まりつつ、そろーり、展示室へ。

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中に入ると、早速、白黒の動くミュシャ先生がお出迎えしてくれました。

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スラブ人の歴史を描いたミュシャ「The Slav Epic」、「スラブ叙事詩」。

まず驚いたのが、やはりその大きさ。

そろそろと距離を縮めると、繊細な筆遣い、
画面の細部まで織り込まれた祖国への想いに、ただただ息を呑みました。
制作期間20年。
ミュシャは、キャリアの後半をこの作品に捧げたそうです。

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#6 Coronation of the Serbian Tsar Stefan Uros Dusan as East Roman Emperor

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ありがたいことに旦那さんが娘をケーキで釣って、
隣のミュージアムカフェへ連れ出してくれたので、
じっくり鑑賞することができました。

土曜日の昼下がりでしたが、
同じように息をひそめて鑑賞するお客さんたちと10人占め状態。

まるで時計の針が止まったような静謐な館内。

ひとりで絵の前に立つと、さらにベンチに座り込むと、
その壮大な時間の流れに吸い込まれそうになります。
そして畏怖。

この「スラブ叙事詩」、
2017年春、六本木の国立新美術館に初めて全20点がそろって来日するそうです。

本当に素朴な疑問ですが、
こんな大きいものを一体どのように運ぶのでしょう…?

なんせ6.1 x 8.1mという巨大な作品群。
一堂に20点展示するとなると、場所も選びますよね。

ちなみに、木村さんによると、プラハで展示される前は、
「交通の便が悪い、モラフスキー・クルムロフの古城に絵が展示されていて、
見学に行くのも大変でした。。。」とのこと。

たしかに、これだけの大きさです。
場所もお城クラスじゃないと、入りきらないわけですねえ。

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一昨年の夏、同じく六本木の国立新美術館でオルセー展のお仕事をしたのですが、
そこで目にしたモネの「草上の昼食」も「大きいなぁ!」と見上げました。
それよりもはるかに巨大な作品が、シリーズで20点!!

これは東京でも、何度でも見に行かねば。

「ミュシャ?ああ、ポスターの人でしょ?」という人も、
必ずやそのイメージが変わるかと思います。

ちなみに、展示室の隅に、
英語とチェコ語の作品解説パンフレットが1ユーロで販売されていました。

来館者が感想を書き込むノート(というか本)は立派な革張り。
世界中の人びとが丁寧に書いたことばが印象的でした。
私も背筋を伸ばして一筆。

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ミュシャの「スラブ叙事詩」、
2016年末まで、この国立美術館「ヴェレトルジニー宮殿」に展示されるとのこと。

それにしても、ちょっとトリッキーな名称ですよね(笑)。
公式サイトには英語名はNational Galleryの「Trade Fair Palace」と書いてあります。
おお、まさに「見本市の宮殿」でした。

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そうそう、フラッシュ無しならば、自由に写真を撮れるのも嬉しいところ。
とにもかくにも大きすぎて、ずいぶん離れないと作品が収まりきらないのですが。。。

神秘的で、幻想的で、ずしんと重いけど、ふわっと浮くような。
やわらかい自然の光線がたっぷり入る、なんとも贅沢な空間でした。


今回はミュシャ一色になりましたが、
プラハ旅では、おいしいチェコ料理(&ビール!)や、
カフカや、路面電車や、もちろんクルテクくんや、色々ありました。
ぜひまた改めさせてください!

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道端で売っていたハーブウォーターがとっても美味しかった。
プラス35チェココルナ(150円)で、
200年の歴史を持つチェコの国民的薬草リキュール、ベヘロブカを足してくれると。

今となっては、「せっかくだから入れてもらえば…」と、ちょっと後悔しています。




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